衛星ミッション
科学衛星ミッションでは,そ の観測装置のいくつかが国際協力の下で開発されます.その中で,それぞれのミッションに国際的な研究者を加え,国際的な科学作業チームが形成されて,衛星計画の内容や,軌道投入後の観測運用計画の議論が行なわれます.宇宙惑星研究グループでは,実際の宇宙プロジェクトに積極的に携わることが可能です.科学衛星の運用にも参加できます.このページでは,宇宙惑星研究グループに所属する研究者・学生が貢献している衛星ミッションを紹介します.
Research & Initiatives
宇宙プラズマ研究系では数多くの探査衛星を打ち上げてきました。 現在は地球磁気圏尾部探査衛星の「ジオテイル(GEOTAIL)」や、オーロラ観測衛星の「あけぼの(EXOS-D)」、オーロラの撮像と粒子計測を同時に行う小型衛星「れいめい(INDEX)」が現役で活躍しており、毎日貴重な データを送ってきています。また、火 星の上層大気の研究のために打ち上げられた火星探査機「のぞみ(PLANET-B)」でも宇宙プラズマ研究系が先導的な役割を果たしました。現在は今夏打ち上げ予定の、月探査衛星「かぐや(SELENE)」による月周辺プラズマの観測が期待されています。今後は水星探査計画 「BepiColombo」における水星磁気圏探査衛星「MMO」や、次世代の磁気圏探査衛星「SCOPE」 などの計画に向けて本格的に動き出して行くことになります。
Research & Initiatives
宇宙プラズマ研究系では数多くの探査衛星を打ち上げてきました。 現在は地球磁気圏尾部探査衛星の「ジオテイル(GEOTAIL)」や、オーロラ観測衛星の「あけぼの(EXOS-D)」、オーロラの撮像と粒子計測を同時に行う小型衛星「れいめい(INDEX)」が現役で活躍しており、毎日貴重な データを送ってきています。また、火星の上層大気の研究のために打ち上げられた火 星探査機「のぞみ(PLANET-B)」でも宇宙プラズマ研究系が先導的な役割を果たしました。現在は今夏打ち上げ予定の、月探査衛星「かぐや(SELENE)」による月周辺プラズマの観測が期待されています。今後は水星探査計画 「BepiColombo」における水星磁気圏探査衛星「MMO」や、次世代の磁気圏探査衛星「SCOPE」 などの計画に向けて本格的に動き出して行くことになります。
宇宙プラズマグループ @ JAXA/ISAS


TRITON(Triple-reflection Reflectron)は月極域探査機LUPEXのローバに搭載される水資源分析計REIWA(Resource Investigation Water Analyzer)の中の分析装置の一つで、 REIWAの熱重量分析計LTGA(Lunar Thermogravimetric Analyzer)で生成された中性ガスの質量分析を行う装置です。
水分子の相対量を近接した質量を持つ分子・原子と分離して計測する他、月表層の揮発性物質を主な測定対象にして質量数200までの分子・原子の測定を行います。
REIWA - TRITON
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TRITONのサイエンス
月の極域クレーター内部にある永久影の領域には氷状態の水が存在することが期待されています。月面には太陽風から水素(H)が供給され、これが月面の土壌に含まれる酸素原子(O)と結合することで水酸基(OH)または水分子(H2O)が生成されているものと考えられています。また、微小隕石などによって外部からも水分子が供給されます。これらの水分子の起源や輸送は科学的に興味深いものであると同時に、将来的に資源として利用できる可能性があり、その存在量や状態を定量的に評価することが求められています。
宇宙研・太陽系科学研究系の齋藤(義)研究室では、イオン質量分析器IMA(Ion Mass Analyzer)を月周回衛星Kaguyaに搭載し、月の希薄大気の研究をおこなってきました。2007年に打ち上げたKaguya搭載IMAは開口部に入射する月の周りに存在するイオンが観測対象でした。それに対してTRITONでは、月面で取得したサンプルを熱重量分析計LTGAが加熱することで発生する水分子を含む中性ガスが観測対象で、中性ガスをTRITONの内部でイオン化することによって質量分析を行います。また、TRITONはKaguya搭載IMAと比べて高い質量分解能を持ち、水分子を他の成分と明確に区別することができます。
TRITONの測定原理
TRITONは、中性粒子をイオン化するイオン源、イオン化した粒子を加速する加速部、イオンが自由飛行するドリフト部、イオンを電場で反射させるイオン反射部とイオンを検出する検出器で構成されます。加速開始から検出器に至るまでのイオンの飛行時間(TOF:Time Of Flight)を検出して質量を計測するタイプの質量分析器ですので、TOF質量分析器と呼ばれています。また、イオンを装置の中で反射させて計測することから反射型TOF質量分析器(リフレクトロン型質量分析器)とも呼ばれています。図1に、リフレクトロン型TOF質量分析器の原理図を示します。測定対象の中性粒子はイオン源でイオン化され、図の左端のAcceleration Regionと書かれた加速部に入射されます。加速部 にはパルス高圧を印加することで、入射したイオンを図の右方向に加速します。加速されたイオンは、Drift Tubeと示されたドリフト部を飛行し、図の右側のReflectorと書かれたイオン反射部で反射され、再びDrift Tubeを飛行した後、Detectorと書かれた検出器で検出されます。加速部にパルス高圧を印加したタイミングと、検出器でイオンを検出したタイミングの時間差を測定することで、イオンの飛行時間からイオンの質量を求めることができます。

[図1] リフレクトロン型TOF質量分析器の原理図。左からイオンの加速領域、自由飛行区間、反射領域を示します。
TRITONには、この従来法を拡張して3回反射型リフレクトロンを採用しました。図2に3回反射型リフレクトロンの電極構造図を示します。図1の方式との違いは、図2の左中央に第2反射部(Reflector-2)を配置したことです。加速部から押し出されたイオンは、ドリフト部を自由飛行し、その後第1反射部→第2反射部→第1反射部の順に反射され、最後に検出器(MCP: Micro Channel Plate)で検出されます。つまり、図1に示した行き帰りの一往復でなく、二往復させてからイオン検出することになります。この方法を用いることで装置のサイズを大きくは変えることなく、イオンの飛行距離を増加(倍増)させて質量分解能を上げることができます。


[図2]
3回反射型リフレクトロン。赤い点線の部分が加速部で、イオン化された粒子を加速します。水色の点線の部分は第1反射部で1回目・3回目のイオン反射を行います。緑色の点線の部分が第2反射部で2回目のイオン反射を行う部分です。
[図3]
TRITONのエンジニアリングモデルの写真(外周を覆うケースを一部取り除いて内部を見える状態にしてあります)。
TRITONの開発
図4に、齋藤(義)研究室でこれまでに開発を進めてきた惑星探査用質量分析器を示します。月周回衛星Kaguya、水星磁気圏探査衛星BepiColombo/Mioに搭載したイオン質量分析器の開発で得られた技術をベースに、将来の着陸探査を目指して天体表面物質探査用質量分析器の開発を進めて来ました。TRITONはその開発成果の一つといえる中性ガスの質量分析器です。今後もさらなる性能の向上と、装置の小型 軽量化を目指して開発を進めていく予定です。

[図4] これまでに開発を進めて来た惑星探査用質量分析器
開発チーム
齋藤 義文 (宇宙科学研究所) 代表者・TRITON開発統括・設計・試験
川島 桜也 (宇宙科学研究所) イオン源開発・組立・試験
齋藤 直昭 (元 産業技術総合研究所) TRITONシステム設計
新井 雄大 (大学院学生:東京大学) ソフトウェア開発・組立・試験
米田 匡宏 (大学院学生:京都大学) ソフトウェア開発・組立・試験
西野 真木 (宇宙科学研究所) サイエンス検討
横田勝一郎 (大阪大学) パルス高圧電源開発
笠原 慧 (東京大学) イオン源開発
浅村 和史 (宇宙科学研究所) TRITONシステム設計・試験